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冨田勲「仏法僧に捧げるシンフォニー」

2006/12/26 00:00

 

作曲家・冨田勲が挑む、
巨大な自然の音響装置を活かした一大プロジェクト
~仏法僧に捧げるシンフォニー~








巨大な鳳来寺山の鏡岩。下には小さく鐘楼が見える
(c)写真提供/尚美学園大学大学院・冨田研究室 撮影/野尻修平




 初夏の山岳地帯で「ブッ・ポウ・ソウ」という鳴き声を聴かせる
仏法僧(コノハズク)という鳥をご存知ですか。
アジアやアフリカなどにも分布するフクロウ科の渡り鳥で、
日本では愛知県東部に多く生息しています。
その鳴き声の特徴から仏教の三宝を意味する「仏法僧」の名で呼ばれてきましたが、
設楽郡の鳳来寺山で聴かれる鳴き声は特に響きが美しいそうです。
 少年時代を愛知県岡崎で過ごした作曲家・冨田勲さんは1935年、
NHK名古屋放送局によって実現した鳳来寺山からのラジオの実況中継で
その鳴き声を耳にしたひとり。
道路の拡張や森林伐採のせいか鳴き声が聞かれなくなってしまった現在まで、
その時の何ともいえない不思議な印象は強く残っているといいます。

山奥に生息するため姿を知られていなかった。
実は「ブッ・ポウ・ソウ」と鳴くのは左のコノハズク。
仏法僧と信じられていた右の鳥は、
今日「姿の仏法僧」と呼ばれている
 
 これまで机上の作曲作業に留まらず(彼の場合シンセサイザー上?)、
サウンド・クリエーターとして自然を背景にとてつもないスケールのパフォーマンスを
繰り広げてきた冨田さん。
鳳来寺山にいる仏法僧の鳴き声が特に美しいのは、
山肌に大きく張り付けられるようにしてそびえる
縦横およそ40メートルの鏡岩が反響板の役割をしているからではないかという推測のもと、
今回は、尚美学園大学大学院・冨田研究室の研究生の方々と供に、
地形を活かした音響空間を再現するプロジェクトに挑みました。
 この日のために「ブッ・ポウ・ソウ」をモチーフにした曲を作曲。
そして曲の中間部で、地元小学校の児童たちによって「仏法僧、帰って来いよ」
と歌われる合唱の歌詞も冨田さん自身が手掛けました。
NHK-BSハイビジョンの協力で10月5日、鏡岩の下に位置する鐘楼に琵琶の坂田良子さん、
岩の上部断崖に尺八の藤原道山さん、メインの鳳来寺本堂前に音響装置の操作と指揮を担う冨田さん、
ホルンやパーカッション、鳳来寺小学校、庭野小学校の合唱のそれぞれが、
鏡岩を中心にして綿密な調査を経たベストポジションにつきました。
悪天候にもかかわらず無事、自然の地形をホールに見立てたこの大掛かりな演奏は
鳳来山に響きわたったのです。



鳳来寺周辺の地図


メイン会場の本堂前には冨田さんの操る大掛かりな装置

 後日冨田さんはこの日の演奏について、
「仏法僧を鳳来山に呼び戻せれば、という希望。
 そしてこの近くでは戦争で大きな爆撃があり、大勢の女工たちが亡くなりました。
 彼女たち への鎮魂の意味も込めたいという思いでした」と、
おっしゃっていました。 
 仏法僧は長野県などで今も生息し、また広島県や岡山県の一部の地域では
自然保護の成果で数が増えているそうです。
本来、その鳴き声がもっとも相応しい霊峰・鳳来寺山に戻って来 る日も
近いかもしれませんね。
 この模様を収録した特集番組「冨田勲 仏法僧に捧げるシンフォニー」は、
12月27日(水)昼の0:15から衛生デジタルハイビジョンで、
年明け1月7日(日)の昼1:35からNHK総合テレビ(東海3県ブロック限定)
で再放送予定ですので、是非ご覧ください。
1935年放送当時の「ブッ・ポウ・ソウ」も聴くことができますよ!
また、このプロジェクトの音響学の見地からの詳しいレポートが
尚美学園大学大学院・冨田研究室のホームページに出ています。

http://www.tomitamethod.com/(聖)



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カテゴリ: エンタメ  > 音楽    フォルダ: 編集部だより

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